story
クリスマスイブの夜。繁華街では大勢の人々
が賑やかに行き交っています。住宅街では暖
かい家の明かりがあちらこちらで灯っていま
す。けれども、まだ無名の女優、森田由紀子
は待つ人の誰もいない暗いアパートにひとり
ぼっちで帰って来ました。そんな彼女の部屋
に不法侵入していた黒いスーツの男。泥棒か
と思ったその男は実は彼女をあの世へ案内す
るためにやって来た死神でした。パニックに
なって死にたくないと訴える由紀子。と、そ
こへ昔の恋人から舞台の主演依頼電話がかか
って来ます。彼女は死神に懇願し、舞台が終
わるまでという約束でその依頼を受けること
にします。しかしそれは、逃げて来たはずの
過去と「もう一度向き合う」というカードを
彼女が引いてしまった瞬間でした。
episode
この頃、劇団活動自体は暗中模索の感が強か
ったのですが、ゲスト参加などを含めなぜだ
か大所帯に。この時期、劇団存続の危機があ
り、このあとくらいから演技の方向性が具体
的になって行きます。ちょうど過渡期だった
んですね。
cast
森田由紀子/古海裕子、枝村みどり
森田友則/中村孝
坂本雄二/横田エイジ
中村真理子/岡野佐多子
隣の女/鶴屋紅子
新聞勧誘員/山口智美、飯島日和
高林聡子/一木美名子
吉村正志/植村拓也
野川幸子/佐藤麻衣子、小池あき
裕子/能登麻美子、小池あき
弘美/岩村水咲、飯島日和
千佳/山口智美、藤田さつき
老婆/垣東和彦、矢板大悟
デニス・グッド/田窪一世
staff
作・演出/田窪一世
装置/木村光春
照明/板谷静男
音響/水越佳一
振付/宇海光燿
舞台監督/上村利幸、田渕正博、高橋良子
撮影/田中健次
絵/小松修
review
▶︎今年も秀逸でした。もう5回目なのに同じ
ところで笑い、同じところで泣けるのはどう
してでしょうか?見終わるたびに、また見た
くなります。来年はどうなるのでしょうか?
(平塚智成、29歳、公務員)
▶︎もう一度見たいと思った映画は、レンタル
ビデオ屋で借りてくれば何度も見られますが、
「黒サンタ」は1年待たなければ見られませ
ん。昨年初めて出会ってからこの1年が待ち
遠しかった。そして感動と衝撃は薄れること
無く、より新鮮な気持ちで見られた今年の舞
台。また来年を楽しみにしています。(金子
孝志、28歳、会社員)
▶︎いつもいつも、何故こんなにも面白く、切
なく、深く、しかも軽やかに、人生のもっと
も大きな悲しみを、その向こうにある希望を
優しく描くことが出来るのだろうかと思う。
クリスマスの定番となったこの作品は、まさ
にこの季節にふさわしい劇団の代表作だと思
う。(和村康市、39歳、ナレーター)