大きな銀杏の樹の下の小さな泉
UNE PETITE SOURCE SOUS LE GRAND GINKGO 

2002年10月30日(水)〜 11月4日(月) 駅前劇場(8st)




story


東京都内を走る私鉄沿線。急行電車が止まら
ない小さな駅の銀杏並木が美しい商店街。そ
の中でもひときわ大きな銀杏の樹のそばに、
フランスの田舎造りの小さな喫茶店「フォ
ティーヌ」はあります。店を経営するのは
黙な父親と優しい娘。二人の人柄に惹かれて、
八百屋の放蕩息子、指輪止めの職人と弁当屋
の店員のカップル。フラメンコ教室の生徒た
ちなど、町内の常連客たちが毎日のように集
まって来ます。ある寒い冬の朝、プロのフラ
メンコダンサーを目指して上京して来たひと
りの少女。彼女の真っ直ぐで物怖じしない言
動が、それまで静かだった町にちょっとした
波紋を広げて行くことに……。場面を冬、春、
夏、秋の四つに分け、喫茶店の店内で起きた
1年間の出来事を優しく見守るように描いた
物語です。




episode


7年ぶりの再演でした。僕が演じる役は、出
ずっぱりにも関わらずほとんど喋らずに黙々
と仕事をしているという役です。芝居をして
るというよりは毎日劇場へ働きに言ってると
いう感じ。でもその生活しているという感覚
がとても気に入っている作品です。




cast


北原憲司/田窪一世
北原いずみ/古海裕子
鷺沼亮子/一木美名子
秋川絵里/岡野佐多子
松本千夏/神野恵子
春田紀子/児玉映里
冬木弘子/赤木美絵、志賀由美子
平岡雅彦/ナガセケイ
後藤太一/横田エイジ
柳原光雄/守田克彰
新谷早苗/山口智美
香川史郎/矢板大悟
飯島淑子/鶴屋紅子










staff


作・演出/田窪一世
装置/谷垣育子
照明/板谷静男
音響/水越佳一
舞台監督/上村利幸
舞台監督助手/原田恵子、高橋良子

撮影/田中健次
絵/小松修





review


▶︎初めて拝見しましたが、期待以上の面白さ
でした。ハート・ウォーミンングなストーリ
ーでかつ上質なお芝居というのは本当に得難
いものです。(いたずらに奇をてらったもの
ならいくらでもありますが)配役があまりに
もハマりすぎていて逆におかしいくらいでし
た。とにかく全体として、脚本、配役、照明、
音楽、装置などとても良い出来でした。(別
府浩一郎、41歳、会社員)

▶︎懐かしいシャンソンが流れるさまざまな人
々の人間模様。最近こんな素晴らしいお芝居
を見て心温まる思いで帰宅したことはありま
せんでした。不治の病を得た娘を不憫に思っ
た父親が、神様に向かって抗議する時の悲痛
な声に泣けました。この劇団の次回作がどう
いう風になっても、底に流れる温かさを失わ
ずにいてください。今後を期待しています。
(金子衣、79歳)