story
繁華街の一角にある古いビル。その地下のア
パートメントに篠田圭介と娘のくるみが世間
から身を隠すようにひっそり暮らしていた。
圭介はかつては将来を嘱望されていた舞台俳
優だったが、彼が引き起こしたある事件が原
因で芸能界から締め出され、それ以来日々を
無駄に送っている。娘のくるみはそんな父親
に失望と怒りを感じ、家を出て行くことを考
えている。そんなある朝、まるで示し合わせ
たかのように意外な客たちが父娘前に現れる。
家出して来た圭介の姉の純子。失恋したゲイ
の瑠璃男。ファンだと名乗る田舎娘の照美。
そして12年前に別れた妻の小夜子までが訪ね
て来て、賑やかだが問題の多い同居が始まっ
た。果たして、生きる目的を見失った彼らが
自信と信頼を取り戻すことは出来るのか……。
episode
4回目の再演でした。駅前劇場よりもひとま
わり小さな劇小劇場に初めて立ちました。よ
り部屋の中にいるような臨場感を感じられま
した。今回、舞台写真をワタベマユミさんに
お願いしました。写真家が違うとこんなにも
雰囲気が変わることに驚きです。
cast
篠田圭介/田窪一世
篠田くるみ/神野恵子
秋山小夜子/古海裕子
鈴木純子/岡野佐多子
鈴木敏雄/早瀬純
佐久間瑠璃男/守田克彰
田中照美/山口智美
佐野芙美子/児玉映里
水上健一郎/松崎巌男
妖精パック/鶴屋紅子
staff
作・演出/田窪一世
装置/谷垣育子
照明/板谷静男
音響/水越佳一
舞台監督/上村利幸
撮影/ワタベマユミ
絵/小松修
review
▶︎くるみちゃんの迫力に圧倒されました。す
ごかった。心が揺り動かされるってこういう
ことなんだな。圭介さんには素直な気持ちで
俳優に復帰出来ることになって良かったです
ね、と言いたい。くるみちゃんが欲しかった
のはお母さんだったんですね。もう自分の心
に嘘をつかなくてもいいんだね。幸せだな─。
いい劇でした。感動。(並木佳寿子、30歳)
▶︎短気で泣き虫だった亡き父を思い出しまし
た。無口な人でした。もっといろんなことを
話しておけば良かったと思いました。わたし
今、目指してることがあります。でも壁にぶ
ち当たってばかりで、よくくじけそうになっ
たりします。今回の公演を見終わって、やっ
ぱり夢はあきらめたくないと思いました。ま
た見に来ます。それまでにわたしもひとまわ
り大きくなれるよう頑張ります。(渡辺幸子、
25歳)