繁華街の一角にある古いビル。その地下のア
パートメントに篠田圭介と娘のくるみが世間
から身を隠すようにひっそり暮らしていた。
圭介はかつては将来を嘱望されていた舞台俳
優だったが、彼が引き起こしたある事件が原
因で芸能界から締め出され、それ以来日々を
無駄に送っている。娘のくるみはそんな父親
に失望と怒りを感じ、家を出て行くことを考
えている。そんなある朝、まるで示し合わせ
たかのように意外な客たちが父娘前に現れる。
家出して来た圭介の姉の純子。失恋したゲイ
の瑠璃男。ファンだと名乗る田舎娘の照美。
そして12年前に別れた妻の小夜子までが訪ね
て来て、賑やかだが問題の多い同居が始まっ
た。果たして、生きる目的を見失った彼らが
自信と信頼を取り戻すことは出来るのか……。

５回目の再演でした。そして僕にとっては２
度目の瑠璃男。手間味噌ですが、今回は演出
家としても俳優としても階段を一段登れたと
思える舞台でした。長年、暗中模索してきた
演出にひとつの答えが出せたように感じてま
す。20年前に座キューピーマジックを始めた
頃には「型」を追い、途中からは「感覚」だ
と閃き、やっと両方大事なんだということが
実感として理解出来るようになりました。そ
のおかげで役者としても今回はとても楽しく
充実して演じることが出来ました。さあ、い
よいよこれからだ！

篠田圭介/西山由希宏
篠田くるみ/安養寺美樹、萩原鈴
秋山小夜子/中村恭子、岩村水咲
鈴木純子/鶴屋紅子
鈴木敏雄/岩崎なおき、石川裕太
佐久間瑠璃男/田窪一世
田中照美/大西あす香、山菅利恵
佐野芙美子/西村陽里、中沢志保
水上健一郎/小関祐也、鷹嵩太朗
妖精パック/大嶋丈仁、市川裕隆

作・演出/田窪一世
装置/向井登子
照明/高円敦美
音響/長柄篤弘
舞台監督/笹浦陽大、藤本志穂
制作事務/薄田菜々子

撮影/槇貴雄
絵/小松修

▶︎架空だけど真実味溢れるストーリーと、個
性的なキャラクター達に魅せられて２時間あ
っという間に過ぎて行きました。クライマッ
クスの母子の場面では思わずホロリ。とても
居心地の良い空間でした。（熊田和加子、30
歳、保育士）

▶︎台詞の隅々が自分に向かってくるようでグ
ッと心に響きました。リアルな演技を間近に
感じて思うところが多々ありました。家族っ
ていいなあ。（田中彩、21歳、フリーター）

▶︎普段自分が感情を抑えていたことに気がつ
きました。そしたらなぜか涙がポロポロ出て
来ました。私の中にもパックが住んでいるの
かも。もっと素直になりたいな。（弦念愛理、
36歳、ビューティーカウンセラー）