主人公、篠田圭介はかつて将来を嘱望されて
いた舞台俳優でしたが、現在は場末の喫茶店
の雇われマスターとして、娘のくるみと一緒
に世間から身を隠すように暮らしていました。
ある朝、まるで示し合わせたかのように、家
出して来た姉の純子、失恋したゲイの友人瑠
璃男、ファンだと名乗る田舎娘の照美、そし
て十二年前に別れた元妻の小夜子までが訪ね
て来て、賑やかだが問題の多い同居が始まり
ます。果たして、生きる目的を見失った彼ら
が自信を取り戻すことは出来るのでしょうか
……。

6回目の再演でした。そして再び主人公圭介
を演じることになりました。今回、高校を卒
業後、最初に学んだ劇団で同期だった友人が
久しぶりに舞台を観に来てくれました。彼は
そのままその劇団で着実にキャリアを重ね、
現在は劇団の中心メンバーとして活躍してい
ます。もしかしたら当時の仲間の中で今でも
俳優として活動しているのは彼と僕の二人だ
けかも知れません。終演後、「クライマック
スで娘と対峙していた時のお前の顔が良かっ
た」と言って貰えた時に、しみじみと「続け
て来て良かった」と思いました。

篠田圭介/田窪一世
篠田くるみ/齋藤法恵A、木崎真宥子B
秋山小夜子/鶴屋紅子
鈴木純子/岡野佐多子
鈴木敏雄/浜田駿A、奥田隆一B
佐久間瑠璃男/モウジーン兼史
田中照美/河野まといA、魚住美桜B
佐野芙美子/如月れいA、東盛沙羅B
水上健一郎/時任盛二郎A、大塚圭B
妖精パック/時任盛二郎A、大塚圭B

作・演出/田窪一世
装置/向井登子
照明/高円敦美
音響/中村光彩
舞台監督/本郷剛史

撮影/槇貴雄
絵/小松修