篠田圭介はかつて将来を嘱望されていた舞台
俳優でしたが、現在は喫茶店の雇われマスタ
ーとして日々を無為に過ごしていました。娘
のくるみはそんな父親に不甲斐なさを感じ、
ことある毎に反発しています。ある朝、圭介
の姉の純子。古い友人でゲイの瑠璃男。別れ
た妻の小夜子。圭介のファンだと名乗る照美
が現れ、全員が居候させろと訴えます。対応
に窮した圭介は全員1週間だけ一緒に暮らす
ことを提案しますが、それは却ってトラブル
を招き入れてしまうという問題の多い選択だ
ったのです。

7回目の再演でした。10代の頃にシェイクス
ピアに出逢って以来、ずっと好きな作家です。
僕に取ってシェイクスピアは古臭くて難しい
古典ではなく、子供の頃、実家の映画館で観
た東映の時代劇そのものでした。高校生の頃
にNHKの舞台中継で観た市川染五郎（松本白
鸚）さんの「ハムレット」に憧れて、演劇同
好会を結成して文化祭で見よう見まねのハム
レット役を演じました。上京して来て観た芥
川比呂志演出、橋爪功主演の「新ハムレット
にも多大なる影響を受けました。そして結局
ハムレットを演じられないまま年齢を重ねて
しまった自分へのご褒美に書いたのが「ハム
レットのための特別席」です。　　

篠田圭介/田窪一世
篠田くるみ/河合雪絵
秋山小夜子/岩村水咲A、吉永薫B
鈴木純子/鶴屋紅子
鈴木敏雄/糸原和彦A、浜田駿B
佐久間瑠璃男/豊島歩夢
田中照美/逢川ともみA、仲居凛B
佐野芙美子/陽奈A、小林藍子B
水上健一郎/三原大和
妖精パック/南進也A、田村康太郎B

作・演出/田窪一世
装置/向井登子
照明/高円敦美
音響/中村光彩
舞台監督/本郷剛史

撮影/中沢志保
絵/小松修