story
妻と死に別れた初老の小説家。突然の喪失感
に彼は戸惑います。そして3人の娘たち。三
十路を前にして、これまで積み重ねて来たキ
ャリアと出産の狭間で迷っている長女。童話
作家になる夢を捨て切れずに悩む日々を送っ
ている次女。高校卒業後の進路に夢を見出せ
ずにもがき苦しむ末娘。3人の娘たちは父親
にことがとても心配ですが、やがてそれぞれ
に彼のもとを旅立って行きます。平凡な家庭
の平凡な人々の日常を、水彩画でスケッチす
るように書き綴った物語。
episode
物語としては全然ドラマチックじゃないし、
わりと苦労しないでスラスラ書けてしまった
ということもあって、初演当時は作者である
僕自身がもうひとつピンと来ない作品でした。
あれから8年、再演するにあたり改めて読み
返してみてびっくり。えっ、こんなに訴求力
のある物語だったっけと、手間味噌ですが我
ながら驚いています。たぶん来年還暦を迎え
る自分の年齢が大きく関係しているような気
がします。
cast
尾崎毅郎/田窪一世
尾崎須磨子/細川明里、奥平麻美
尾崎貴和子/殖木茜、陽奈
尾崎登紀子/平田和、木村紗貴
尾崎栗子/えんだ勝美、鶴屋紅子
後藤文子/野口真穂、山菅利恵
長嶋静江/沖中恵、大西あす香
佐々木加代/関根毱乃、車谷芽維
北野祐美/鳳華蓮
水森千夏/相良優子
白川葉子/安城レイ
桜井康子/小野寺那佳子
阿川雅之/西山由希宏
staff
作・演出/田窪一世
装置/向井登子
照明/高円敦美、古矢涼子
音響/長柄篤弘
装置製作/STONEZZ
小道具/高津装飾美術
舞台監督/本郷剛史、篠原絵美
撮影/石川裕太
絵/小松修
review
▶︎本当にこの家族が生活してるのを自分が空
気になって見ているような、それくらい自然
で、見ていてホッと安らげるような感覚でし
た。見終わってなんだか温かく、でも寂しい、
そんな気持ちでです。(宮田友貴、21歳、学
生)
▶︎飾らない、ただそこに居るだけの演技。僕
の人生これからどうなるのでしょう?こんな
ゆったりとした心地よい時間が訪れる日が来
る事を願いつつ歩んで行こうと思います。お
疲れ様でした。(大原誠、21歳、役者)
▶︎途中から涙が止まりませんでした。何気無
い日常を切り取っただけのように見えるのに、
そこには優しい時間が流れていて私を包んで
くれました。今、人間関係で少しだけ悩んだ
りしてますが、そんな私の心を洗い流しても
らったような心地です。また明日も頑張りま
す。(鈴木章子、40歳、会社員)