Q座キューピーマジックの名前の由来はなんですか？

　　A. 僕のキャラから決まったと勘違いをされている方が多いようですが、
　　実はちょっと深い意味があります。僕の敬愛する映画監督、
　　黒澤明さんの語録に「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」というのがあります。
　　これは、準備段階ではどんなに細かいことにも気を配りなさい。
　　しかし、一旦カメラが回ったら小さいことなど気にしないで撮影に望みなさい。
　　と、いうような意味なんだそうです。
　　ここから発想して座キューピーマジックと名付けました。
　　ただ、やはり僕のキャラを考えて、
　　エンジェルよりはキューピーだろうということになりました。



　　Q. 劇団の創立経緯を教えてください。

　　A. 座キューピーマジック創立以前、僕は「ラクーンドッグ・エンタープライズ」と、
　　「キャッツ・ポー」という既成戯曲作品だけを上演する劇団を創立、解散させていました。
　　しかし、観客動員数がはかばかしくなかったので一念発起し、
　　オリジナル作品だけを上演して行く劇団を創立することを決意。
　　「キャッツ・ポー」のメンバーに新メンバーを加えて1987年に稽古を開始。
　　翌1988年1月に「黒いスーツのサンタクロース」で旗揚げしました。



　　Q. 作品の傾向は？
　
　　A. 僕が影響を受けたのはアメリカの劇作家ニール・サイモンです。
　　小説家では山本周五郎。
　　西洋と東洋の違いこそあれ、両氏ともに共通するのはヒューマンな作品たち。
　　かつてラクーンドッグ・エンタープライズという名前で活動していたとき、
　　実はニール・サイモンを内緒で上演したことがあります。
　　（すいません、時効ということで許してください）
　　当時はまだ日本語訳の出版物がなく、
　　英語の得意な弟にアメリカから直接取り寄せて翻訳してもらいました。
　　しかし、直訳に近い状態だったので、
　　それを僕が日本でも上演可能な程度に意訳しました。
　　さらに舞台をニューヨークから東京に変えたりして、
　　日本のお客様にもわかりやすいようにして上演しました。
　　そのとき「なるほど戯曲ってこんな風うに書くのか」と、とても勉強になったのです。
　　他にもアメリカのヒューマンコメディ系映画にも多大な影響を受けています。
　　「アパートの鍵貸します」「天国から来たチャンピオン」「トッツィー」などなど、
　　あんな素敵な物語を書いてみたいと思ったのがきっかけです。



　　Q. 「黒いスーツのサンタクロース」 誕生秘話などあったら教えてください。

　　A. 作品が出来たのは実は座キューピーマジック創立以前のことです。
　　僕は20代後半「ラクーンドッグ・エンタープライズ」という名前で、
　　現在とは全然違うメンバーと一緒に活動していました。
　　とにかく一度オリジナル戯曲を書いてみようと奮起して、
　　道路工事のガードマンのアルバイトをしながら、
　　隠し持った手帳に思いついたことをコツコツ書き込んで、
　　なんとか完成させました。
　　でも、売れない女優のところへ死神が訪ねてくるということ以外、
　　現在のお話とは全く別の物語で、
　　たくさんの男性遍歴を繰り返している主人公のために、
　　死神が奮闘して来世を約束していた恋人にこの世で合わせてあげるという、
　　ちょっと少女趣味なお話でした。
　　取り敢えず上演もしてみたのですが、自分としてはガッカリな出来で、
　　おのれの才能のなさを思い知らされたという感じでした。
　　で、一旦創作の道をあきらめるわけです。
　　それから約５年後、座キューピーマジック創立の際に再チャレンジして、
　　現在の「黒いスーツのサンタクロース」の原型が出来上がります。
　　ただ、この時もすんなりと書けた訳ではなく、
　　主人公をドンドン追い詰めて行って、
　　挙げ句の果てに殺してしまった時には自分でも呆然としてしまいました。
　　２、３週間悩んでいましたが良い解決策が見出せず悶々としていましたが、
　　ある日、弟とビールを飲みながら雑談していた時です。
　　突然、弟が「５年前に行こうよ」と言い出したのです。
　　その瞬間、僕の頭の中で後半のシーンがパパパッと映像化されたのです。
　　それからは一気呵成に書き上げることが出来ました。
　　ですから、あの時の弟の一言には今でも感謝です。




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